部門紹介
当検査室は以下のような部門より構成されています。
各部門とも電子カルテ化により、病院の基幹システムと検査システムとがスムーズに連携しています。
また、検体部門はバーコードにより管理され、採血管はそのまま自動測定機で分析にかけることができ、検査結果を迅速に報告することができます。
採血室
現在受付後の採血の待ち時間はおよそ5分から10分です。
採血間違いがないよう、患者さんのお名前確認の他、コンピューターによる照合を行い採血を実施しています。
また、待合室には検査案内のパンフレットやパソコンを設置し、お待ちいただく時間に検査室からの情報を提供しています。
生化学検査
生化学・免疫部門では、連結型の自動分析装置を使い、全部で40項目以上の検査を行っています。肝機能、腎機能、脂質、血糖などの生化学検査、HBs抗原、HCV抗体などの感染症検査、PSAなどの腫瘍マーカー、心筋マーカーなどを測定しています。
ここでは、固まった血液を遠心分離し、分離された上澄み(血清)で検査を行っています。生化学検査の測定には約10分、免疫検査の測定は約30分かかります。
これらの検査は一日の中でも変動があるので、早朝空腹時の採血が基本となります。
また、採血困難な場合には検体が溶血してしまうことがあり、正しい結果をお返しするために再採血を依頼することもあります。
血液検査
血液検査室では主に下記のような検査を行なっています。
血球計算検査
血液の中を流れる細胞(赤血球・白血球・血小板)の数を数えています。
- 白血球 … 細菌やウイルスなど体に侵入した異物と戦います。
- 赤血球 … 肺で酸素を受け取り、全身に酸素を運びます。(貧血に関係します)
- 血小板 … 止血が主な役割で、出血した時に傷ついた血管に付着し、出血した部分を塞ぎます。
血液像検査
白血球の種類には好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球があり、これらを顕微鏡で見て分類しています。
凝固検査
血液は血管の中では固まりませんが、外に出ると固まります。
これには多くの因子が働いていますが、その機能が正常に働いているかどうかを調べます。
一般検査
一般検査では、主に尿と便を検査しています。
尿の検査
尿は血液が腎臓で濾過されて作られます。そのため、尿は腎臓や膀胱の状態をよく反映します。
尿検査は、尿定性検査と尿沈渣があります。
尿中に糖や蛋白が出ているかを調べるのが定性検査です。尿沈渣では、レーザー、CCDカメラ、目視法で尿中の有形成分を分類し、カウントして病的な細胞出現がないかを確認しています。
また、妊娠反応の検査も行なっています。
便の検査
便に血液が混入していないかを調べています。大腸からの出血を発見するために行なっています。
輸血検査
輸血検査室では、下記の業務を行なっています。
血液型検査
ABO式血液型(A・B・O・AB)とRh式血液型(RhD(+)・RhD(-))の検査。
輸血のための検査
- 不規則抗体検査:輸血の副作用を起こす可能性がある抗体の有無を調べる検査
- 交差適合試験:患者さんの血液と輸血する血液製剤が適合するかどうかを調べる検査
血液製剤・自己血の管理や保管
血液センターから届いた血液製剤を、使用するまで適切な温度で保管しています。同様に、手術のため患者さんから貯血した自己血も大切に保管しています。
また輸血管理システムにより、製剤の入庫から、どの製剤をどの患者さんに使用したか、輸血後の副作用の有無までの一連の流れを管理しています。
細菌検査
細菌検査室では、一般細菌検査・抗酸菌検査(結核菌など)・迅速検査(インフルエンザウイルスなど)を行なっています。これらの検査で、喀痰・尿・血液・便などのさまざまな検体から、病気の原因となっている菌=起因菌を見つけます。
また、起因菌に対してどの薬(抗菌薬)が効くのか、院内感染に関与するような耐性菌がないかも調べています。
※特に喀痰の検査では、検体の質が検査結果に大きく影響を及ぼします。唾液を多く含む喀痰は口腔内に存在するたくさんの常在菌が発育するため、起因菌が特定できず検査の意味がなくなってしまいます。
そのため提出時に採り直しをお願いすることがありますのでご了承ください。
生理検査
心電図検査や肺機能検査、各種エコー検査等、全部で30種類以上の検査を行っています。検体部門とは異なり、患者さんと接して検査を行います。
検査をスムーズに、より正確に行うため患者さんにご協力をお願いする場合があります。検査の前にはどのような検査をするのか説明するよう心がけています。被爆の心配はありません。
救急外来や各病棟、各診療科の患者さんが同じ場所で異なる検査を受けるため、待ち時間が前後する場合があります。ご了承ください。
病理検査
病理検査室は、顕微鏡を用いて組織や細胞を観察することが主な業務で、そのためのプレパラート作製を行なっています。それにより、診断の確定、病期・予後の推定、治療効果の判定をしています。
病理組織検査
患者さんから採取した検体(皮膚、肺、胃、腸、子宮など)を3μm程度に薄く切り、核と細胞質を見やすくするために染色を行ないます。出来上がったプレパラートを病理医が顕微鏡で組織の構造などを観察し、良悪性を診断しています。
また術中迅速病理診断も行なっています。手術中に結果が必要な検査のため、20分程度で直接手術室に結果報告しています。
この検査で、リンパ節転移の有無や臓器の切除範囲などが決まります。
細胞診検査
喀痰、尿などに悪性を疑う細胞があるかどうかを細胞検査士が顕微鏡で調べて、病理医が診断をする検査です。
病理組織検査に比べ、検体を採取する際の負担が小さいのが特徴です。婦人科検診の細胞診検査も行なっています。
病理解剖
ご遺族の承諾のもとに患者さんのご遺体を解剖させていただくのが病理解剖です。
生前の診断や治療が正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、死因の特定などを目的に解剖を行なっています。
またその結果を臨床へ還元することにより、今後の治療に役立てています。
緊急検査
当院では24時間救急を実施しています。平日はもちろん夜間、休日も救急搬送や患者さんを受け入れています。
検査室も24時間検査技師が常駐し、輸血や血液ガスなど緊急性の高い項目を検査しています。
入院患者さんの急変時にも同様の対応をしています。
機器トラブルに対処するため自動検査装置を2台ずつ設置し、バックアップ体制を整えて、迅速な結果の報告に努めています。
チーム医療への参加
当院では、医師や看護師・その他医療スタッフが集結し、職種を横断して一つのことがらを専門的に扱うチーム会を結成しています。検査室からも下記のチーム会に参加し他部署と連携・協力しています。
栄養サポートチーム(NST)
治療効果促進や合併症の予防などを目的に、適切な栄養療法を提案・実行するチーム会です。検査技師は栄養状態の評価の指標となる項目を検査しています。
糖尿病チーム
糖尿病で療養中の患者さんの支援を目的としたチーム会です。糖尿病に関する検査の意義や数値の読み方の説明など、検査の側面から療養指導を行なっています。
感染管理チーム(ICT)
院内でおこるいろいろな感染症を監視・管理し、適切な予防措置を講じて、患者さんや家族・職員を感染症から守ります。細菌検査に従事する検査技師が、耐性菌の発生状況などの情報を提供をしています。