医の倫理

当院では、医の倫理にかかわる諸問題に対して、患者の人権を守ることを第一と考え、病院の理念と基本方針、患者の権利章典、医療者の倫理綱領、患者の権利に関する基本方針などの指針を示し、すべての職員への周知・教育を行っています。

医の倫理

1.医療者の倫理綱領

当院では、日本医師会「医の倫理綱領(2000年)」ならびに日本看護協会「看護者の倫理綱領(2003年)」の精神を基に、「医療者の倫理綱領」を制定し、全ての職員がその職責の重大性を認識し、常に患者の人権を尊重して、医の倫理にかかわる問題に対応します。

医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医療者(医師、看護師、コメディカルスタッフなど)は責任の重大性を認識し、すべての人に奉仕するものである。

  1. 医療者は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。
  2. 医療者はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける。
  3. 医療者は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。
  4. 医療者は互いに尊敬し、協力して医療に尽くす。
  5. 医療者は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。
  6. 医療者は医業にあたって営利を目的としない。
(平成20年12月8日制定)

2.治験や臨床研究における倫理

医学研究における倫理の問題、新薬の治験や遺伝子治療等新しい治療技術の開発に関わる臨床研究に関しては、外部委員を含めた倫理委員会、治験審査委員会で審議を行い、常に患者の人権と医の倫理に配慮しています。また、一般的な倫理研究に関しては、倫理問題検討委員会や臨床研究審査委員会において患者の権利やプライバシーの保護、個人情報の保護の観点から審議を行っています。

3.臨床における倫理

悪性疾患の病名告知や予後の告知に関しては、患者の知る権利と知らないでいる権利の問題、家族への告知を希望されない場合の対応の問題などで、簡単に答えを出すことのできないケースがあり、個々の患者さんに応じた検討が求められます。終末期における治療の差し控えの問題や延命処置としての心肺蘇生法の実施や人工呼吸器の装着など治療法の選択の問題なども、患者の意思の尊重や人としての尊厳を守る面などから、倫理的な検討を要する問題であります。

当院では、このような臨床における倫理に関わる問題について、主治医が単独で判断せず、複数の医師や看護師、ソーシャルワーカーを含めた医療チームとともに、患者さん自身や家族の方々を含めた話し合いを行い、治療方針を決定するように努めています。さらに、臨床の現場で結論を出せないような倫理に関わる問題については、倫理問題検討委員会で、常に患者さんの意思と権利を第一に考慮した最善の方法を検討します。

その他、医療安全管理委員会、患者サービス向上委員会など各種委員会での審議や、臨床の現場での事例検討会において、臨床における倫理の諸問題について検討を行い、患者さんの人権を尊重した対応を選択し決定しています。

4.臓器移植に関わる倫理

『臓器の移植に関する法律』に規定されている臓器のうち腎臓、膵臓、眼球(角膜)については心臓が停止した死後においても臓器の提供・移植は可能です。脳死下での臓器提供のように提供施設の指定はありませんが、実際の腎臓、膵臓の提供においては心停止前からの準備が必要です。当院では『臓器の移植に関する法律』に則り、『臓器提供に関するマニュアル』に準じて、心臓が停止した死後の腎臓などの臓器摘出に対応しています。

当院では、患者さん自身や家族の方々の臓器提供の意思を尊重するとともに、家族の方々の心情にも配慮して対応するよう努めています。具体的には、患者さんが昏睡状態で終末期にあると判断され、家族の方々がそれを受容された場合、その後の治療方針は家族の方々と担当医師・チームの話し合いで決定されます。その中で、患者さんや家族の方々の臓器提供の意思が示された場合に、担当医・チームは臓器提供者の適応を検討します。そして、患者さんがその基準を満たす場合には、家族の方々に移植コーディネーターの説明を聞くか否かの確認を行います。その後、担当医・チームは移植コーディネーターと密接に情報交換を行い、患者さん自身や家族の方々の臓器提供の意思が生かされるように努力します。

臓器提供の意思をお持ちの患者さんや家族の方は、いつでもご遠慮なく担当医や看護師など医療者にご相談下さい。

患者の権利の尊重に関する基本方針

当院では、「患者の権利章典」に定めた患者の権利を尊重し、守るべく、以下の基本方針を職員に周知・徹底します。

  1. 患者に対して常に公平であるとともに、適切で安全な医療の提供や医療の質の向上のために知識・技術の習得・向上に努めます。
  2. 個々の患者の人格や価値観を尊重し、患者との信頼関係、パートナーシップのもとで「患者中心のチーム医療」の実践に努めます。
  3. 終末期にある患者に対しても、最新の医療知識に基づき苦痛を緩和し、人としての尊厳を保てるように治療、ケアを行います。
  4. 患者が意識不明か、その他の理由で意思を表明できない場合や未成年の場合には、法律上の権限を有する代理人に対して、十分な情報提供を行い、患者の最善の利益のための意思決定を支援します。
  5. 病気、検査、治療、見通しなどについて、理解しやすい言葉や方法で十分に説明し、診療内容についての患者の理解と意思決定を助けます。
  6. 患者が他院の専門医のセカンド・オピニオンを要望された場合には診療情報提供書の作成など適切に対応します。
  7. 患者から自分自身の診療録の開示を求められた場合には、原則的に診療録の開示を行います。
  8. 個人情報保護に関する取り決めを行い、患者の個人情報の機密保持に努めます。また、入院生活において、患者のプライバシーが守られるように努めます。
  9. 患者自身の健康増進の努力を支援するために、健康教育のための市民公開講座や療養相談、医療相談窓口の活動に積極的に取り組みます。
(平成20年12月8日制定)
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