医療の安全と安心を高めるために-当院が取り組んでいること-

確認作業の徹底のための「指差し・声だし確認」の推進

当院では産業界のノウハウに学び、指示出し・指示受け・実施の際のエラーを防ぐために、アタマを覚醒して注意を促す方法として「指差し・声出し確認」の周知・徹底に努めています。
しかしながら、職員の意識や習慣の改革は容易ではなく、実際の現場での浸透には時間が必要というのが実感です。

指差し呼称の基本ポーズ

指差し呼称の基本ポーズ

確認作業の徹底のための「タイムアウト」・「タッチアンドコール」の推進

「タイムアウト」「タッチアンドコール」のイメージ手術部では、手術室入室時に看護師と麻酔科医により患者確認を行うとともに、手術体位や術野消毒の前に、一旦作業を止めて(タイムアウト)、外科系主治医・担当医と麻酔科医、看護師が患者確認だけでなく予定手術術式や左右の区別などを最終確認する取り組みを推進し、思い込みによる間違い防止に努めています。

放射線部門でも、侵襲的検査・処置を行う場合にタイムアウトを行い、主治医と看護師、放射線検査技師による患者確認、実施検査・処置確認、部位確認を推進しています。

また、看護部門では、部署の職員全員が手を重ねて今日の目標を声に出して唱和すること(タッチ・アンド・コール)を推進し、安全作業のポイントを意識付けるとともに、連帯感や活動意欲を高めるように努めています。

「作業中断」イエローカードの活用

「作業中断」イエローカードのイメージ多忙な病棟業務においては、患者さんからのナースコールをはじめ様々な業務が重なり、一つの作業を中断せざるをえないことがあります。
こういった場合、作業再開時に確認が疎かになったり、思い込みで確認を忘れたりする危険がありますし、別の職員が作業を引き継いだ時に思い込みによる間違いをする危険性が生じます。
そこで、誰が作業をしていて中断しているのかを明示するために職員名入りの「作業中断」イエローカードを活用しています。

患者間違い防止の取り組み

ネームバンドの活用や診察券などでの患者氏名の確認だけでなく、患者さん自身にも協力していただいて、氏名を名乗っていただく方法を推進し、ヒト間違いの防止に努めています。
まだまだ徹底できていないのが実情ですが、患者さんのご理解を得ながら、改善活動進行中です。

ダブルチェックの必要な薬剤リストの作成・改訂

毒薬、劇薬、危険薬など、使い方を間違えば身体に大きな影響を及ぼす薬がたくさんあります。これらの薬では、思い込みによる間違いを減らすためにダブルチェックを実施しています。一人での確認より、複数人での確認です。
薬剤部では調剤する薬剤師と監査する薬剤師によるダブルチェック、病棟などでは看護師同士や看護師と医師によるダブルチェックを行っています。
もちろん、二人で確認をしても同じ目線での確認であったり、片方に頼っていてはダブルチェックにならないという問題もあり、更なる改善が必要です。

転倒・転落防止のための取り組み

転倒・転落は病院の中でも大きな問題の一つです。
入院時には転倒や転落を起こす危険性を評価させていただき、患者さんや家族の方に転倒・転落の防止対策の必要性を説明し、協力をお願いしています。

治療の標準化の取り組み

最近では、各学会で疾患別の診断・治療ガイドラインの作成が進んでいます。
当院でも、これらのガイドラインに準拠した診断や治療の実践に努めています。クリニカルパスの作成・活用、各種説明文書の作成・活用などもその一環です。
また、静脈血栓塞栓症予防や敗血症診療の質向上のための当院版ガイドラインの作成や低血糖時の共通指示、転倒・転落事故による頭部打撲時の対応手順の作成などを行っています。

医療現場における改善活動 案・do・トライ 一歩前へ!の推進

医療の質の向上や安全性の確保のためだけでなく、病院における様々な業務の改善のために、各部署やチーム、グループが行っている活動に光を当てて応援する試みを平成21年度より開始しました。
年度末3月には改善活動発表大会を行い、病院全体に地道な改善活動の輪を広げる取り組みを行っています。

eラーニング(Safety Plus®)の導入

医療安全を高めるために、医療安全に関する院内研修を病院として実施し、職員全員が受講することが重要です。しかし、時間の都合で全体研修に参加できない職員もいることは事実です。
このような状況を改善すべく、ネット環境があれば研修ができるeラーニング(Safety Plus®、エルゼビア・ジャパン社)を平成30年8月に導入しました。コースは現在約55のコンテンツがあり、全職員が研修を受けることができるシステムにしています。

その他の取り組み

平成29年度
  • ベッド柵が金属腐食のため破損し、転落・転落事故にいたった事例があり、劣化したベッド部品などの見直しを実施
  • 手術部で抗生剤ラベル発行に関するインシデントが多発したため、クリニカルパスでの注射オーダにおいて、対象となる68項目の投与方法を変更し、手術時注射となるようにした。その後、同様のインシデント発生はなくなった。
  • 人工呼吸管理中の患者への吸入気管支拡張薬メプチンエアー®の投与方法に関するインシデントがあり、人工呼吸器の接続デバイスを変更した。
  • 食物禁忌食材を提供したインシデント(事例はサバ)があり、入院時にアレルギー情報をFAXで栄養管理室へ連絡する運用とした。あわせて患者基本情報へのアレルギー情報の登録を徹底するようにした。
  • 安全パトロールの結果、手術室、放射線科などで、医療ガス(酸素ボンベと二酸化炭素)の保管が混在しており、医療ガスの表示方法を徹底した。
  • 産科婦人科予定入院にも、「お薬外来」の適応を開始した。
  • パーキンソン病患者に対し、禁忌薬であるセレネースが必要時処方されるインシデントがあったため、処方画面での注意喚起タブを設定した。ニューズレターでも周知を促した。
平成28年度
  • 接触感染や空気感染の危険性のある患者に対する画像検査オーダーにおける感染症情報コメントの追加
  • 医師のインシデント報告の推進、合併症報告の基準作成
  • 放射線防護、造影剤使用・MRIに関する注意喚起
平成27年度
  • 「静脈血栓塞栓症対策ガイドライン」改訂
  • 医療事故調査制度に伴う医療安全管理マニュアル改訂
  • 手術ならびに観血的検査・治療前の中止薬管理指針作成
  • 「おくすり確認外来」における入院前常用薬チェックの開始
  • 「西市民病院における診療拒否に関する対応指針」の作成
平成26年度以前
  • 静脈注射実施マニュアルの改訂:「看護師が直接静脈注射してもよい薬品リスト」の作成
  • 4階病棟でのピクトグラムの試験的導入
  • 薬剤師の病棟配置による医薬品安全管理の推進
  • 末梢静脈穿刺に伴う神経障害発生時の対応指針
  • 救急カート内配備薬品のレイアウトの見直し・統一
  • インスリン管理ファイルの作成・活用開始
  • 鎮静処置を要する検査・処置に関する安全管理上の取り決め作成
  • 「産科危機的出血への対応フローチャート」の作成
  • 緊急帝王切開対応手順の改訂と模擬訓練(レッドカイザー訓練)開始
  • 「入院患者の自殺防止のためのガイドライン」の作成
  • 酸素ボンベの残量確認表の作成・設置
  • 「インスリン皮下注射の処方・取り扱い」マニュアル改訂
  • 静脈血栓塞栓症ガイドライン(西市民病院編)の作成

etc.

医療安全研修会

医療安全に関する職員研修も大切な取り組みとして積極的に行っています。平成29年度に開催したものは以下の通りです。

日時 テーマ
第1回全体研修会
(平成29年5月31日)
平成28年度の医薬品関連インシデントから学ぶこと
第2回全体研修会
(平成29年8月29日)
医療安全の観点からみた睡眠薬と転倒〜高齢者不眠の特徴と転倒予防について
第3回全体研修会
(平成29年10月4日)
放射線技術部:造影剤について
第4回全体研修会
(平成29年12月4日)
医療現場での対応困難事例を考える
新人対象インスリン講習会
(平成29年6月7日)
インスリン指示の注意点~インシデントを減らすために~
呼吸ケアチーム研修会
(平成29年1月26日)
呼吸ケアに関するインシデント

その他

中心静脈穿刺・カテーテル留置の体験型講習会、人工呼吸器・血液浄化装置・シリンジポンプなど医療機器の安全使用、MRI検査や造影剤使用上の注意、心肺蘇生法の研修など医療安全に関連する部門別研修会を実施しています。

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