主に中年以降の女性に高頻度で認められる病態です。男性にも認めます。
膝の軟骨が摩耗して変形が進行した状態を変形性膝関節症(膝OA)と呼びます。痛みが強くなった場合に人工関節に置き換える手術があることは一般的に周知されるところとなってきています。一般的には膝関節を形成するすべての関節表面を人工物に置き換える全人工膝関節置換術(TKA: Total Knee Arthroplasty)が行われます(図1左)。これに対してUKAは大腿骨―脛骨関節の内側か外側のどちらか側を人工物に置き換える手術です(図1右、図2)。
図1TKAとUKA 左がTKA術後、右がUKA術後。UKAでは比較的健常な外側部および関節内の靭帯は温存される。
図2 UKAの実物
UKAはTKAと比較して以下のようなメリットがあります。
UKA | TKA | |
---|---|---|
手術侵襲 | 小 | 大 |
両側同時手術 | 可能 | 高齢者では不可能 |
入院期間 | 短い | 長い |
スポーツ復帰率 | 高い | 低い |
人工関節の気にならなさ | 高い | 低い |
適応となる膝の状態がTKAとUKAでは全く同一ではないため、単純な比較はできませんが、可能であればUKAを行う方が理にはかなっています。ただし再置換術を含めた追加手術の頻度が高いことがUKAが避けられる理由の一つとなっています。しかしこれは、手術症例の少ない施設のためであったり、比較的容易に再手術や再置換術が行われたりすることが原因ではないかとされています。以前より適応が拡大される傾向もあり、専門家では膝人工関節置換術のうち20%がUKAとなるのが適切ではないかと言われてきています。(Arno J Arthroplasty 2011)日本の多くの施設ではUKAの比率がまだまだ低く、今後UKAは増大していく傾向があると考えます。
私が適切と考える適応は
です。
図3の症例は85才の女性の方で両側膝OAがあり左右同程度の疼痛を自覚されていました。MRIで外側部や前十字靭帯は比較的健常に保たれておりました。そこで両膝同時のUKAをお勧めしました。術後リハビリを含めて早期に自立可能となりました。この方は非常に良い適応であったと考えます。 しかしながらUKAを受けることを希望されても、レントゲンやMRIの検査結果でUKAの適応でなくTKAが好ましいと判断されることもあります。年齢や膝や全身の状態、社会的環境も考えてその方に一番適した手術方法を考えたいと思います。膝の痛みで保存的治療を行ってもよくならずお困りの患者がおられましたら、ぜひとも当院にご紹介ください
図3 85才女性 内側が主体の両膝OA
a.術前 両膝とも内側側が関節裂隙が狭くなっている。
b.両側同日のUKA手術後 正面レントゲン
c.術後側面レントゲン
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