呼吸ケアチーム

目的

呼吸ケアチーム(RCT)は、人工呼吸療法を受ける患者・家族へのケアサポートを行っています。決して一方的な助言とならないよう、主治医・担当看護師とコミュニケーションを図り、患者にとって有用となるよう支援していきたいと思っています。
安全な人工呼吸器の管理、安心して受けられる呼吸管理、信頼される看護の提供に役立てるよう努めています。

急性呼吸不全の治療と救命を目的とした人工呼吸療法は、これまで気管内挿管または気管切開が多く行なわれてきました。しかし、1970年代にマスクを使用した非侵襲的な換気が開発され、1996年米国呼吸療法学会の非侵襲的陽圧換気(NPPV)に関する報告によれば、急性呼吸不全に対するNPPVが飛躍的に増えています。

わが国でもNPPVの使用が急速に拡大しており、NPPVの登場により、挿管回避率は高く、また合併症も少なく有用であるとされています。当院においても、NPPV装着件数は平成24年度109例、25年度107例、26年度100例と、人工呼吸器稼働率は侵襲的人工呼吸器(IPPV)より高くなっています(表)。
いずれにしても、人工呼吸療法は呼吸への物理的人為的治療の介入であり、有害な副事象を避けて合併症を減らす管理が重要です。そして、できるだけ早く人工呼吸器を外すこと(離脱)が合併症を減らすことにつながります。

当院では、2010年度より呼吸ケアチーム(RCT)を結成し活動しています。当チームは、医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士など多職種の医療スタッフが協力し、人工呼吸管理を行っている呼吸不全患者に対し、人工呼吸機器の使用上の問題に関するサポートを行うことで、患者ケアの質を向上させ、人工呼吸器の早期離脱を目指しています。さらには、最近、導入されてきた新しい酸素療法デバイスについても、講習会などを通じて、安全な使用の普及をはかっています。

表.人工呼吸器(など)装着件数

IPPV NPPV その他LTVなど Nasal High Flow
2011年度 84 83 23
2012年度 76 109 30
2013年度 50 107 2 25
2014年度 42 100 3 24

RCTの活動

イラスト当チームは、多職種によるコアメンバーで院内を横断的にラウンドして人工呼吸器管理に関する疑問の解消やケアのサポートを行っています。それらの活動からみえてきた課題を系統立てて、教育も計画しています。
それにより、RCTリンクナース、各病棟看護師の呼吸ケア能力を向上し、呼吸ケアが充実するよう取り組んでいます。

安全管理体制の整備

看護師が行っている各種人工呼吸機器の管理責任者として臨床工学技士を配置し、トラブル時にはコアメンバーに相談できる体制となっています。
また、人工呼吸器の設定指示表を院内で統一し、安全チェック・観察記録を新たに作成することで、病棟や診療科が変更されても安全に治療・ケアが継続されるようにしました。さらに、人工呼吸療法中の合併症への注意喚起も含めて、換気モードや合併症に関するガイドラインを付属させ、人工呼吸療法を安全に行うための環境を整備しています。呼吸ケアに関するインシデントについては、チーム内で検討を行い、適切な対応と再発防止に取り組んでいます。

RCTラウンド

週1回(木曜)回診し、必要なサポートを行っています。診療報酬の加算上は人工呼吸器を離脱中の方が対象ですが、人工呼吸器が装着されている場合は全てラウンドしています。また、オプティフローR、オキシマスクR、マルチパーパスマスクRなどの新しい酸素療法デバイス使用症例についても、適時回診を行っています。機器の安全面でのチェック、呼吸状態のアセスメントも行い、今後の方向性を踏まえて個々の患者に合わせた人工呼吸器の設定やウィニング、呼吸ケアに関するディスカッションを行っています。このような、RCTと現場の医師・看護師の協働により、患者・家族のケアが充実するよう努めています。

ケア環境の充実

状態の比較的安定した慢性呼吸不全や終末期患者の人工呼吸療法は一般病棟へと移ります。一般病棟で人工呼吸器管理を行うには、その場所でどのようなことができるのか、看護師の体制・人数・訓練度が問題であり、人工呼吸療法の継続が必要な場合は、それらを加味して転棟の調整を行っています。特に、転棟当日はできるかぎり転棟先に赴き、ベッドサイドで個々の患者に合わせたケアが引き継がれるよう努めています。
また、一般病棟で人工呼吸療法かつ集中治療が必要となった急性呼吸不全患者が発生した場合は、可及的速やかに集中治療室に移動しています。

呼吸ケアセミナーの開催

呼吸ケアに直接携わる看護師を中心として、院内の医療スタッフすべてを対象に勉強会を定期的に開催しています。そこでは、医師・臨床工学技士・看護師・理学療法士による講義と実技指導などを行っています。
また、年々人工呼吸療法を受ける対象者が増え、呼吸器科病棟以外の一般病棟でIPPV・NPPV管理が必要な件数が増えています(表参照)。そのため、特に増えているNPPVの管理やケアに関することは、年間を通してICU・救急病棟や呼吸器科病棟での実習を行い、より実践的にケアが深められることを目指し支援しています。新しい酸素療法デバイスについても、適時、講習会などを行っています。

リハビリテーション関係職種および臨床工学技士の吸引実施に向けた活動

『喀痰等の吸引の行為』については、厚生労働省医政局の通知(医政0430第1号)により、リハビリテーション関係職種等にも認められ、当院では本年度よりRCTを中心としたワーキンググループを発足させ、活動を開始しています。
吸引処置は、リハビリテーション関係職種においても、適切な評価のもとに必要な吸引を安全に行えることを目標に、統一したプログラムに基づく教育システム(講義・手技演習、病棟での実技指導)および安全面での対応プロトコルを策定しました。今後は、現場での実施状況から、教育・安全面での対応を検証しサポートしていく予定です。

メンバー紹介

氏名【資格】 職種
代表 冨岡 洋海 医師(呼吸器内科)
コアメンバー 山下 修司 医師(呼吸器内科)
沖中 徳子 臨床工学技士
酒井 英樹 理学療法士(リハビリテーション)
田中 小巻 慢性呼吸器疾患看護認定看護師
林 有里 急性・重症患者看護専門看護師
荒木 敬雄 急性・重症患者看護専門看護師
岡田 梨亜 看護師
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