わが国の慢性腎臓病患者数は成人人口の約13%に上ると言われており、新たな国民病と言えるほどにその有病率は増加の一途を辿っています。腎臓病は肥満や糖尿病、高血圧などいわゆる生活習慣病と呼ばれるものを原因とするもの、IgA腎症や一次性ネフローゼ症候群など免疫学的な異常を原因とするもの、悪性腫瘍など別の疾患を原因として発症するもの、薬剤の影響によるものなど様々です。
腎臓病は末期腎不全の予備軍であるだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患の発症も有意に高くなることが知られています。そのため、腎臓病を早期に発見し、迅速に原因を特定し適切な治療を行うことは、末期腎不全を回避するだけでなく重篤な合併症を防ぐためにも重要となります。また慢性腎臓病の原因が多数あるように、その治療も様々です。個人の生活や価値観に応じた治療を提供出来るよう患者さんとの共同意思決定に努めております。
腎臓領域では、治療によって完治する疾患もありますが、慢性腎臓病として長期に付き合っていく必要があるケースが多くあることも事実です。そのような場合、かかりつけの先生方との連携が不可欠であり、密な情報共有を心がけております。
地域の患者さんに良い医療を提供出来るよう精進して参りますのでどうぞよろしくお願い致します。
当科は腎臓内科・透析専門医ならびにスタッフ医師、内科専攻医で診療にあたっています。腎疾患は同じ疾患でも経過や患者さんの背景によっても治療内容が大きく異なることも多く、全員で情報を共有し、意見交換を行い治療方針を決定するように心がけています。
対象疾患としては腎炎・ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、高血圧や電解質異常など急性期から慢性期まで幅広く診療を行っております。腎炎・ネフローゼ症候群については可能な症例では腎生検を行い、診断に至るよう努めています。
また血液浄化部門では一般的な透析診療に加え、集中治療における持続的血液浄化療法、アフェレシス治療などの診療を行っています。血液透析だけでなく腹膜透析も当院では導入から維持治療まで行っています。腎移植治療については関連施設と連携し対応しています。
一般外来については月~金曜日まで毎日開設しています。腎機能障害や尿所見異常だけでなく電解質異常や高血圧についても対応しています。
当院では血圧管理や内服薬の調整、体液量調整、食事療法、腎代替療法についての情報提供などを目的に腎臓病教育入院を行っています。患者さんの生活に合った治療を提供できるよう医師、看護師、栄養士、薬剤師、透析室看護師と多職種で連携し診療を行っています。
また腎代替療法については、血液透析・腹膜透析・腎移植・保存的腎臓療法の中から患者様に最も適した治療を提供できるよう比較的早期から情報提供を行っております。実際に透析室を見学頂き、腹膜透析や血液透析のイメージをもってもらう「腎代替療法選択外来」を行っております(同外来は腎臓内科外来から予約を行っています)。また腎移植については関連施設と連携し診療を行っております。
当院では検尿異常を呈する例や、何らかの腎炎が疑われる疾患に対しては積極的に腎生検を行っております。疾患としてはIgA腎症や一次性ネフローゼ症候群、ANCA関連血管炎などが多く、これらの疾患の診断・治療を行っております。またループス腎炎や血液疾患に関わる腎障害など、必要な症例では他科と連携し診療を行っております。
腎・透析センターでは20台の血液透析装置を有し月・水・金2クール、火・木・土1クールの血液透析を施行しています。当院では外来維持血液透析だけでなく血液透析導入や他疾患で入院となった透析患者の透析治療も行っております。また集中治療における持続的血液浄化や膠原病などの自己免疫性疾患に対するアフェレシス療法も各診療科と連携し積極的に施行しています。また腹膜透析の診療も行っており、導入期から維持期にかけて患者さまの生活にあった治療を提供できるようスタッフ一同取り組んでいます。
当院ではシャント造設術、腹膜透析カテーテル挿入術、長期留置型カテーテル挿入術など外科と連携しながら腎臓内科で行っております。
名前 | 渡邉 周平 |
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役職 | 医長 |
卒年 | 平成22年 |
専門分野 | |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会認定内科医・指導医 日本内科学会総合内科専門医 日本腎臓学会腎臓専門医・認定指導医 日本透析医学会専門医 |
名前 | 瀧口 梨愛 |
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役職 | 医長 |
卒年 | 平成19年 |
専門分野 | |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会認定内科医・指導医 日本腎臓学会腎臓専門医・認定指導医 日本透析医学会透析専門医・認定指導医 日本内科学会総合内科専門医 日本腹膜透析医学会認定医 |
名前 | 原 明子 |
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役職 | 副医長 |
卒年 | 平成25年 |
専門分野 | |
認定医・専門医・指導医 | 日本腎臓学会腎臓専門医 日本透析医学会透析専門医 日本内科学会総合内科専門医 日本内科学会指導医 日本腎臓学会認定指導医 |
名前 | 隈元 宣行 |
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役職 | 副医長 |
卒年 | 平成28年 |
専門分野 | |
認定医・専門医・指導医 | 日本専門医機構内科専門医 日本透析医学会透析専門医 日本腎臓学会専門医 臨床研修指導医 |
名前 | 安積 陽也 |
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役職 | 副医長 |
卒年 | 平成29年 |
専門分野 | |
認定医・専門医・指導医 | 日本専門医機構内科専門医 日本腎臓学会腎臓専門医 |
名前 | 浦山 知葉 |
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役職 | 専攻医 |
卒年 | 令和4年 |
専門分野 | |
認定医・専門医・指導医 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 【12診】★瀧口 | 【7診】安積 | 【7診】隈元 | 【7診】渡邉 | 【7診】渡邉 |
午後 | 【12診】★瀧口※1 | 【7診】安積※1 | 【7診】隈元※1 | 【7診】渡邉※1 | 【7診】渡邉※1 |
※1 予約診察のみ
クリニカルパス(クリティカルパス)とは、治療や検査の標準的な経過を説明するため、入院中の予定をスケジュール表のようにまとめた計画書です。入院の際、患者さんにお渡しして、入院中に受ける検査・手術の予定や手術後のリハビリなどの治療内容、食事・入浴などの生活の流れを十分ご理解いただき、安心して入院生活を送っていただくためのものです。
また、従来の医師によってばらつきがあった医療の内容を標準化し、医師、看護師をはじめ、医療にかかわるスタッフ全員が患者さんの治療計画を共有化することにより、チーム医療に役立て、医療の安全や医療の質の向上を目的としたものです。
しかし、すべての患者さんにクリニカルパスが使用できるわけではありません。標準化しにくい疾患の場合や、患者さんの状態によってはクリニカルパスが使用できないこともありますのでご了承ください。
当院では、患者さんに治療内容などを十分にご理解いただき、安心して入院生活を送っていただくため、積極的にクリニカルパスの導入を進めています。
疾病名 | 件数 |
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入院 |
320例 |
腎生検 | 17例 |
血液透析導入 | 42例 |
腹膜透析導入 | 2例 |
腹膜透析関連手術 | 4例 |
長期留置型カテーテル留置術 | 4例 |
シャント手術 | 32例 |
外来透析 | 3,443件 |
入院透析 | 1,467件 |
慢性腎臓病診療の目的は、透析療法への移行ではなく、早期発見・早期治療により腎予後改善、心血管疾患など全身合併症の予防、ひいては患者さまの予後・QOLの改善であると考えられます。CKDの早期発見・早期治療のためには地域医療機関の先生方の御協力なくしては実現不可能です。以下にCKD診療ガイドライン 2018に記載されております紹介基準をお示ししますので、以下のいずれかに該当する患者さまがおられましたらご紹介のほどどうぞよろしくお願い致します。
その他当院では腎生検検査も施行しております。検尿異常(血尿、蛋白尿)のみを呈する症例でもご紹介頂ければ幸いです。
〒653-0013
神戸市長田区一番町2丁目4番地
地図で見る Tel: 078-576-5251
Fax:078-576-5358(代表)/ 078-579-1943(病診連携室)
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