周術期サポートチーム(Peri-Operative Support Team)の頭文字をとっています。
消化器外科手術を控えているハイリスク患者さんに対して術前外来から早期のサポート介入を行っているチームです。
昨今は高齢化に伴い、70歳代、80歳代の患者さんが手術を必要とする機会が増えてきています。高齢になると栄養状態の悪化、組織修復力の低下、基礎疾患の増加などにより術後合併症のリスクが若年者よりも高くなります。また、高齢者では術前の筋力や運動機能の低下により、術後のADL(Activities of Daily Living:日常生活能力)が悪化するリスクもあります。こういった加齢に伴う脆弱性のことをフレイル、筋力低下や筋肉量減少をサルコペニアと呼びます。近年では、術前から積極的な栄養指導やリハビリ介入などを行うことにより、フレイル・サルコペニアの患者さんの手術に伴うリスクを少しでも軽減しようという試みが全国で盛んになってきています。
当院では2021年4月よりPOST(周術期サポートチーム)を発足しました。
POSTは医師、看護師、管理栄養士、理学療法士、薬剤師、事務職員など多職種より構成される医療チームです。月に一回、チームカンファレンスを行いつつ、外科手術予定の高齢者を対象としてフレイル・サルコペニアを抽出し、術前から積極的に栄養指導、リハビリ指導などを行うことで、周術期の成績向上を目指しています。
手術の決まった患者さんには、外来で栄養指導とリハビリ指導を行い、手術までの待機時間を有効活用して自宅ベースで食事療法や筋力トレーニングに取り組んで頂きます。入院後は速やかにリハビリ介入を行い、術後の早期離床、筋力保持を目指します。術前外来、入院中、術後外来と複数回にわたって栄養指導を行い、周術期の栄養状態を改善します。
医師
看護師
管理栄養士
理学療法士
薬剤師
事務
消化器がん手術予定が決定した後、外科診察、栄養指導、リハビリ指導を予約します。
対象は、75歳以上の消化器がん予定手術の患者さんです。
安全に手術を受けていただくためには、栄養状態をよくしておくことが大切です。 栄養状態の指標として、採血でアルブミン、プレアルブミンなどのタンパク質値の変動を確認し、InBodyという機械を用いて術前、術後の骨格筋量や体脂肪率などを測定しています。
術前の栄養相談は、患者さんの普段の食事内容の聞き取りから栄養摂取状況と病態にあわせて、栄養状態の評価を行い、エネルギー、たんぱく質など必要な栄養摂取の方法や工夫などを説明しています。栄養状態不良の方、食事摂取量が足りていない方には、栄養剤の処方提案も行っています。
入院中の栄養相談は、手術の部位、術式などにより異なりますが、食事開始のタイミングや退院前に説明しています。また、退院後の初回外来に合わせて栄養相談も行い、退院後の食事摂取状況と栄養状態の再評価を行っています。場合によっては、継続した栄養サポートを行ってます。
リハビリでは、より良い身体状況で手術に臨んでいただくため、手術までの期間に自宅で行える運動を指導させていただきます。また、術前の筋力や歩行速度、バランス等の身体能力を測定します。術後は、早い時期に離床や運動を開始することで合併症や廃用症候群を予防し、早期に社会復帰できるようにサポートします。
施設によっては、高齢者である、多くの基礎疾患がある、などといった理由で積極的な手術加療は勧められないケースもあるでしょう。しかし、当院では諦めない外科診療を目指し、フレイル・サルコペニアであってもPOSTによる積極的な周術期介入の下に、必要な治療をお届けいたします。
〒653-0013
神戸市長田区一番町2丁目4番地
地図で見る Tel: 078-576-5251
Fax:078-576-5358(代表)/ 078-579-1943(病診連携室)
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