「MRI」と「血管撮影装置」が新しくなりました
2022年12月にMRI装置の更新を行いました。
新しい装置はSIEMENS社製 1.5T MRI装置「MAGNETOM Avanto Fit」という機種です。
SIEMENS社製 MAGNETOM Avanto Fit
これまで使っていた装置と同じ1.5Tですが、多数の最新技術が搭載されています。
例えば、圧縮センシングをはじめとした高速撮像技術により検査時間の短縮や、同じ撮影時間でより高画質な撮影が可能です。息止め時間の短縮や息止め回数の低減なども可能になりました。
また、呼吸や体動の影響を受けにくい撮影ができるようになったため、息止めが困難な場合でも、従来では難しかった自由呼吸下で診断可能な画像を得ることも可能となりました。
他にも静音化技術により撮影時の騒音が軽減可能となりました。
など
非造影 胆嚢・胆管
呼吸同期による撮影:3分程度
息止めによる撮影:20秒程度
(➡胆嚢管も詳細に見ることができる)
頭蓋内血管
※クリックすると再生できます
当院では、従来から頭部、脊椎、関節をはじめとした全身領域の検査に対応していましたが、新装置では撮影アプリケーションの追加により、脳血流の評価、心臓検査、非造影による血管の評価(下図)など、特殊検査に対してもさらに幅広く対応が可能となっております。
その他にも新装置には多数の最新技術が搭載されております。放射線技術部では装置の機能を最大限に活用することで、撮影時の負担を軽減し、診断や治療に役立つ画像情報の提供に努めてまいります。
非造影の撮影
腎機能が悪いかたでも血管を描出することが可能
心臓のシネ撮影
腎臓の動脈
下肢の動脈
2022年11月に血管造影装置の更新を行いました。
SIEMENS社製 Artis Zee i Ceiling
血管造影装置の更新に伴い、CTO GuidanceやEmbolization Guidance等の新しい手技支援ソフトが使用可能となりました。CTO Guidanceは事前に撮影した冠動脈CT画像を取り込んで、手技中確認できる血管の範囲を拡大し、適切なワーキングアングルの決定をサポートするアプリケーションです。これにより手技時間の短縮が期待でき、より安全・迅速にPCIを行うことが可能です。(図1)
Embolization Guidanceは手技中に撮影したCT画像を活用し、腫瘍の栄養血管を自動抽出するアプリケーションです。これにより、栄養血管同定のための撮影回数が軽減でき、患者被曝線量の低減や使用造影剤量を削減することが可能です。(図2)
図1:CTO Guidance
図2:Embolization Guidance
2023年より当施設で脳血管造影検査を行うことが可能となりました。
DSA(デジタルサブトラクションアンギオグラフィー)という画像処理を施すことでMRIやCT検査では描出が困難な脳の細かな血管まで鮮明かつ連続的に描出することができます。
主な対象疾患は脳動脈瘤、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳動静脈奇形などです。
X線を用いて得られたデータを3D画像処理をすることで病変を3次元的に捉えることができ、正確に診断することができます。
血管造影検査室スタッフ
「X線動態撮影」はじめました
一般的にレントゲン撮影とよばれるX線撮影は静止画で撮影しており、形態的な情報を得ることができます。 それに対し、動態撮影はX線撮影に時間に時間軸が加わることで動画として撮影します。撮影された動画を解析することにより形態情報に加え、定量的な機能情報を得ることができます。
静止画
X線撮影
動画
動態撮影
※カーソルを合わると再生できます
特別な設備の必要な核医学検査やCT、MRIに比べて簡便であり、スパイロメーターを用いた肺機能検査(肺活量の検査)などでは得ることができない局所的な肺機能を評価することができます。
通常の胸部撮影と同じ、X線撮影で用いる装置で撮影を行います。検査時間は約5分程度です。
呼気・息止め・吸気の3位相を10秒程度かけ、連続パルスにて撮影します。
COPD 患者は 健常者に比べ横隔膜の動きに明らかな有意差があることが示されており、動態撮影による定量的な解析が呼吸機能の新たな評価指標となることが期待されています。
見たいものをよりみやすく
客観的な情報による裏付け
単純X線でも機能診断が可能に
「CTC」始めました
仮想(バーチャル)大腸内視鏡や大腸3D-CTとも呼ばれる、内視鏡を使用しない新しい大腸検査方法です。最新の64列マルチスライスCTで得られるデータをコンピュータで処理し、大腸の3D立体画像や多方向からの断面像などを観察することができます。
従来の大腸内視鏡検査では、内視鏡の挿入や検査前の大量の下剤服用などが必要でしたが、CTCでは内視鏡を挿入せず下剤の服用量が半分の量で済み、検査自体の所要時間は約15分と極めて短時間で実施できます。
患者さんにとって苦痛の少ない優しい検査です。
これまでの大腸検査では、2,000mlの下剤を数時間で服用する必要がありました。
しかしCTCでは、下剤の総量は半分の900mlです。
さらにそれを2日に分けて服用しますので、下剤への抵抗感は少なくなります。
入室から退出までおよそ15分です。
内視鏡の替わりに炭酸ガス用の送気管をお尻から10cmほどだけ挿入します。
送気管はとても柔らかく、細いので挿入に対する違和感はほとんどありません。
お腹の中に入っていくのは炭酸(CO2)ガスです。腸管を傷つける心配はありません。
さらに炭酸(CO2)ガスは空気より早く腸管に吸収されるので検査後のお腹の張りもすぐになくなります。
当院では患者さんへの負担が少なくするために、二日法という方法で下剤を服用して頂いております。
また、当院では前日の食事制限が苦痛にならないよう、大腸検査専用の検査食(※1)を売店で購入してもらうようお願いしております。
※1 大腸専用検査食「eコロン」 定価1,200円
前日の朝昼夕の3食を手間をかけずにおいしく頂ける検査食です。低残渣・低脂肪食で「かす」が残りにくいのが特徴です。
DE(Dual Energy)CTが導入されました
当院では、2019年12月より新しいCTとしてGE社のDual Energy CT「Revolution Frontier」が導入されました。
DECTとは、2種類の異なる X 線エネルギーを同時に照射して 画像情報を得る新しい概念の CT のことです。これによって、従来のCTではできなかった様々なことができるようになりました。
1)造影CTにおける造影剤投与量の減量
造影剤量は造影剤腎症のリスクファクターであり、投与量は必要最小限にすることが推奨されています。DECT では、X線エネルギーを変化させることにより造影効果の強調が可能となりました。従来のCT検査では、腎機能が悪く造影検査が困難であった症例でも、DECTでは、造影剤量を約半分まで減量しても十分な造影効果を得られた画像を提供できるようになりました。
従来画像
DECT画像
2)整形領域でのインプラント評価
通常のエネルギーより、高いエネルギーを使用した画像に変更することで、今までは評価が困難であったスクリュー等金属類の辺縁がクリアになり、よりインプラントの評価がしやすい画像を提供できるようになりました。
従来画像
DECT画像
3)物質弁別画像
造影剤に含まれるヨードを増強したヨード密度画像の表示ができるようになりました。ヨード密度画像にて、急性肺血栓塞栓症に見られる肺野の灌流低下域を鋭敏にとらえ早期診断に有用です。 また、絞扼性イレウスの腸管虚血や腹腔内出血の検出などにも活用されています。
従来画像
造影剤のみを画像にしてカラーマップ表示したもの
「CT」と「一般撮影装置」が新しくなりました
2024年3月にCT装置の更新を行いました。
新しい装置はSIEMENS社製 64列CT「SOMATOM X.cite 」という機種です。
✓ さまざまな体格の患者や厳しい条件にも対応
ガントリのボア径(輪の大きさ)はは820mm、テーブルの最大荷重は307kgと、体格、体位に制限されることのない設計になっています。
SOMATOM X.citeに搭載されているX線管球Vectronは管電圧を70〜150kVまで10kVごとに設定が可能であり、最大1,200 mAの管電流出力できるためハイパワーな低管電圧撮影が可能です。それにより腎機能に配慮し造影剤量を低減した検査や、150kgを超えるような体格の大きな方でも画質に妥協することなく撮影できます。
SIEMENS社製 SOMATOM X.cite VA30
この装置には様々なAI技術が活用されています。
例えば“myExam Companion”と名づけられたAI技術により、CT装置側から出される質問に答えることで、最善の検査の設定が容易にできるようになりました。管電圧、管電流、ローテーションタイム、ピッチなど、さまざまな撮影条件の設定をAI技術により自動化することで、的確な画像の提供が可能となり、検査時間も従来と比べて短縮しました。
また検査後の画像作成段階では、“Inline technology”により患者ごとの解剖学的体位をCT本体が自動で認識した上で、最適な断面の画像を自動再構成することができます。
このように検査全体を通して活用されるAI技術で、検査の質の向上に貢献しています。
新たな特長としてSIEMENS社独自の多数の被ばく低減技術が挙げられます。
✓ SOMATOM CTだけの新技術であるTinフィルターテクノロジー
一般的なCT装置にはX線のエネルギー分布を均一にし、被ばく線量を低減する付加フィルターが搭載されています。
新装置にはこの付加フィルターに加え、可動式のTinフィルターというフィルターが搭載されています。X線がこのフィルターを透過するこで、画像化に寄与しない無効な被ばくを大幅にカットしたり、アーチファクトという障害陰影を抑える効果があります。
当院では、この技術をTopogram(位置決め画像)やCTC(大腸CT)や小児の撮影などで活用することにより被ばく低減に努めています。
他にもCARE kVや、CARE Dose4Dという、被検者の体格や検査内容の特性(非造影、造影等)を考慮して、管電流および管電圧の組み合わせを、装置側で自動的に導き出し、最適な画像を実現するための技術を搭載しています。
また、X線を検出する検出器にに高感度の素子を利用したり、ハードウェアとソフトウェアの双方から被ばく低減に努めています。
このように新装置は数多くの技術を統合し、患者に安全・安心な検査を提要しています。
2024年3月に一般撮影室1、3の装置更新を行いました。
(一般撮影室1)
(一般撮影室3)
一般撮影装置の更新により、すべての撮影室でFPD(フラットパネルディテクター)での撮影ができるようになりました。
技術面では撮影を担当する技師をサポートするようなAI機能が搭載されており、従来の撮影装置と比べ、画質の高精細化、低被ばく、検査時間の短縮が可能となりました。
撮影室1の寝台には検査を少しでも快適に受けていただくためにクッション性のあるマットが装備されました。(図1)
(図1)
経時的な変化を撮影する一般X線撮影検査において、適切なポジショニング、撮影者間によつばらつきの少ない画像を医師に提供することは重要です。
AI機能(Reviewing Navi)を導入したことで、画質の確認、改善法の提案がされるようになり、より早く、正確に検査を行うことが可能になりました。(図2)
(図2)
〒653-0013
神戸市長田区一番町2丁目4番地
地図で見る Tel: 078-576-5251
Fax:078-576-5358(代表)/ 078-579-1943(病診連携室)
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